米原のガラス工房「YANEURA(やねうら)」(米原市伊吹)で12月10日~14日の5日間、「YU/渡部優 原画展」が開催される。
同展を開くのは米原市在住13年の美術作家・渡部優さん。東京芸術大学絵画学科油画専攻を卒業後、同大学院ではインスタレーション作品の制作に没頭。20代は都内各地で展示経験を重ねた。米原への移住を機に水彩画を描き始めた。現在は夫の渡部秀夫さんと共に築116年の古民家を改修した宿「flow(フロウ)山源(やまげん)」(米原市柏原)の経営も行っている。
来春に控える東京での展示準備と並行して「地元でも展示したい」と考えていた渡部さん。「YANEURA」のオープンアトリエを訪れた際、「作品を飾るのに最適な環境」と感じ、オーナーの林和浩さんからも「ぜひ開催を」と声がかかったことから企画が決まったという。
移住後初めての本格的な個展となる今回は、水彩画、デザイン仕事の原画と成果物、過去のインスタレーション作品の原画など約20点を展示するほか、デザイン原画やインスタレーションの資料をまとめたファイルも置く。環境負荷を減らしたい思いから新しい額を買わず、手元にあるものをやすりがけして柿渋を塗ったりミツロウで磨いたりするなどして再生させたという渡部さん。額に合わせて絵を描くこともあるという。「嫁いだ渡部家、古民家を譲り受けた山本家には額縁がたくさんあった。建具職人だった義父の手作りのものは出来が素晴らしく、生かしたいと思った。展示ではそうした額を磨き直して作品を額装している」と話す。
会期中、渡部さんが夏に川で拾った石を削って作ったという絵の具で絵を描くワークショップも開く。「米原にはお金を使って遊ぶ場所は多くないけれど、良いものがたくさんある。そこに目を向け、あるものを生かして描いてみようと思ったことが石の絵の具を作ったきっかけ」と話す。「絵を描くことで自分の考えていることや自分の性質を知ることができる。描き続けてきたことで人とつながり、センスが磨かれ、既にあるものに自分で手を加えられる技術が身についた。そうした可能性が万人に開かれているというのを想像してもらえたらうれしい。絵に苦手意識があるという人ほど参加してほしい」と呼びかける。
「家庭や育児、介護を経験した今、作品を通して人とつながる時間を大切にしたい」と話す渡部さんは、会期中全日の10時~17時(最終日は16時まで)に在廊予定。展示作品の販売も行う。
開催時間は10時~19時(最終日16時まで)。入場無料。ワークショップは、11日~13日の各日10時~・15時~の2回(各回定員4人、要予約)。参加費は、画材持参=3,000円、画材なし=4,000円、親子参加=5,000円。予約はインスタグラムのDMで受け付ける。