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米原の古民家宿「フロウ山源」が移転 バリアフリー化で誰もが集える場へ

オーナーの渡部秀夫さん・優さん夫婦

オーナーの渡部秀夫さん・優さん夫婦

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 米原の古民家宿「flow(フロウ)山源(やまげん)」(米原市柏原)が移転オープンし、6月1日で1カ月を迎える。

寝室

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 築116年の古民家をユニバーサルデザインに改修し、車いすユーザーも泊まれる宿、水彩画教室、整体、食品の量り売りなど多様な機能を持った「住み開き」の場として営む同施設。「多様な背景の人が集える場所にしたい」と話すのは、オーナーの渡部秀夫さん・優さん夫婦。

 2人が宿業を始めたのは2015(平成27)年。これまでは外国人客対象の宿だったが、移転オープン後は日本人や障害のある人も受け入れている。移転先は旧店舗から徒歩20分ほどの場所で、新たに屋号も「flow山源」とした。以前の屋号「渡部建具店」から変えることに迷いはなかったという。鴨長明の「方丈記」の一節や松尾芭蕉の「不易流行」に共感した、移ろいを受け入れ変化を楽しむという思いから「flow」とし、現在の家屋でかつて酒屋を営んでいたという当時の屋号「山源」を「あるものを生かしたい」とアップサイクル的に受け継いだ。

 今回新たにバリアフリー対応を実現するため、玄関、トイレ、シャワー、庭、1階の各部屋などを、車いすユーザーの動線を考慮した設計にした。設計段階から専門家にアドバイスをもらい、コンセントの位置、洗面台の高さ、シャワーチェアの導入など細やかな配慮を施した。バリアフリーにした背景には、秀夫さんが車いすユーザーと旅をしたときに「ニーズはあるのに対応する宿が少ない」と感じたことから。できるだけ自然素材を使ってDIYで改装し、化学物質過敏症の人にも配慮した素材選びも特徴。

 優さんの水彩画教室も始めた。ベトナムで青年海外協力隊として2年間活動した際、「絵の具が買えるのは当たり前じゃない」と感じた経験を生かし、絵の具そのものの成り立ちから理解できるような、「単なる技術指導に終わらない学びの場を目指す」という。

 オープン初日には、9年前にオランダから宿泊に来た家族の子どもが18歳になり友人を連れて再訪した。かつての家主も祝いに駆けつけた。「自分事のように喜んでくれてうれしかった。ようやくスタート地点に立てたんだと実感が持てた」と秀夫さん。

 「お年寄りや子ども、外国の方、障害のある方やない方など異なる背景を持つ人同士が交流することで他者への想像力や共感力というまなざしが養われる。結果として、それが生きる喜びという根本の豊かさを感じる経験につながっていく。いろいろな人が来てくれたら単純に僕も楽しい」と秀夫さんは話す。

 今後は山村留学や、地域イベントの開催なども視野に入れる。「当初は地域の方にワンプレートご飯を提供できる場にもしようと計画していていたが、施設の許可の関係でかなわず、違う形で地域の方が寄りやすい機会を作りたい。地域の方もフラッと入って来てほしい」と話す。「サービス業というより、一緒に過ごす限られた時間を楽しくつくる関係性でありたい。近隣店舗とも良い影響を与え合える存在であれたら」とも。

 15時以降チェックイン、10時チェックアウト。宿泊プランは1人1泊1万8,000円(介助者は半額)。水彩画教室は毎月第4土曜に開き、料金は4,000円(画材持ち込みなしの場合5,000円)。断熱施工工事のため、7月1日~23日は一時的に宿泊客の受け入れを休止する。8月1日から受け入れ再開予定。

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