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長浜の漆職人が「漆おもちゃプロジェクト」 NICUの子どもに積み木提供

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中川喜裕さん・千裕さん夫婦

 長浜の漆職人による「KINDI(キンディ)漆おもちゃプロジェクト」が始動して、7月で半年がたった。

 長浜の「カネイ中川仏壇店」(長浜市曽根町)5代目の塗り師・箔(はく)押し師の中川喜裕さんは漆ガレージブランド「 GNU urushi craft(ヌーウルシクラフト)」を立ち上げ、キャンプ道具の漆塗りなどを手がけている。中学校で漆塗りの授業を担当するほか、主催するキャンプイベント「GNU CAMP(ヌーキャンプ)」では漆塗り体験などができるようにするなど、途絶えつつある漆文化を次世代に受け継ぐための活動を続けている。

「 GNU urushi craft」

 同キャンプイベントでは、漆塗りを施した積み木などで遊べるキッズコーナーを設け、昨年12月に「tsumiki salon KINDI(ツミキ・サロン・キンディ)」の運営を始めた妻・千裕さんの「積み木を通じて子育ての楽しさを伝えたい」という思いも反映させている。

「GNU CAMP」のキッズコーナー
 

NICU勤務の看護師の思いから始まった「漆おもちゃプロジェクト」

 昨年夏、漆には塗ることで抗菌作用が高まり、水に強くなるとされる点に着目した東北大学病院(宮城県仙台市)のNICU(新生児集中治療室)に勤務する看護師・石田渉さんから「NICUに入院する子どものために木製のオーナメントに漆を塗ってほしい」という相談を受けた。

木製のオーナメント

 喜裕さんは「相談をきっかけに、病院には消毒ができないという理由でプラスチックなどのおもちゃしかないことを知った。その木製のオーナメントをいったん預かり、漆塗りを施し、昨年12月に完成品を渡した。『リトルベビー』と呼ばれる低体重で生まれた小さな赤ちゃんとその家族がとても喜んでくれた」と振り返る。「今まで医療優先で制限が多い環境の中にいる子どもたちに、漆を通じて心の豊さを提供できてうれしかった」と振り返る。

 石田さんの「NICUに入院している子どもたちに、いつか漆塗りを施した積み木や木製のおもちゃで遊んでほしい」という思いに共感した中川さん夫婦は新たに「KINDI(キンディ)漆おもちゃプロジェクト」を始めた。今年1月、インスタグラムを通じて、いらなくなった「積み木」や「木製のおもちゃ」の寄付を呼びかけ、同時に漆塗りを施す協力者を募集した。

喜裕さん(左)と看護師の石田さん(右)
 

 6月下旬、東北大学病院に出向き、仕上がった第1弾の積み木などを手渡した喜裕さんは「共感してくれた方々からたくさんの積み木の寄付があり、驚いた。これまでの活動の中で漆塗り体験を行ってきたこともあり、漆を塗る協力者に名乗り出てくれる人も多く、総勢約250人の協力を得ることができた」と話す。「病院にも木のおもちゃがあることが普通になればうれしい。より多くの子たちに木のおもちゃに触れてもらえれば」と千裕さん。

寄付した漆を施した木製のおもちゃの一部

 

 今後も中川夫婦は同プロジェクトを続けていくという。

KINDI(キンディ)漆おもちゃプロジェクト
「tsumiki salon KINDI」インスタグラム

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