
長浜の「FUSE COFFEE ROASTERS(ヒューズ・コーヒー・ロースターズ)」(長浜市木之本町)が6月15日で1周年を迎える。
自家焙煎(ばいせん)コーヒー豆の販売所として営業している同店。経営は木之本町出身の布施太郎さん・正子さん夫婦。ブラジル、エチオピアなど国別で約15種の豆を扱い、深いり・浅いりなど合わせて約25種の豆を用意する。中には、生豆にラム風味をつける加工を行い、その後に焙煎する「インフューズドコーヒー」なども扱う。試飲してから豆を購入できる同店のサービスは、太郎さんがこれまで客として豆選びをしたときに「説明文を読んで買ったが、思っていた味ではなかった」という経験から生まれた。試飲サービスには「わざわざ来てもらったお客さまに、納得して帰ってもらいたい」という「おもてなし」の思いがあるという。希望者にはオーダーメードで豆のブレンドも行うほか、近隣であれば配達も行う。
現在も本業を持つ2人は、太郎さんが店のアドバイザー、正子さんが店主として主に週末に営業している。太郎さんは会社員として働く傍ら、30年ほどバイクを趣味にしてきた。1年半ほど前、名古屋でコーヒー焙煎所や喫茶店などを経営しているバイク仲間に「長浜でコーヒーの店をやってみては」と声をかけられた。元々コーヒーを飲む習慣があったという太郎さん。その言葉がきっかけとなり、仲間が焙煎したコーヒーを自宅で飲むようになった。「家で簡単に店のようなコーヒーが味わえることに驚いた」という。飲んだ後の気持ちが前向きに変化し、家族との会話が弾むなどの実体験から、「この体験を多くの人と共有したい」という思いが芽生え、コーヒー豆の焙煎所を始めようと決意した。そこから同店のコンセプト「お家(うち)コーヒー始めませんか」というキーフレーズが生まれた。
現在、焙煎所として利用している場所は元々自宅のガレージだった。昨年1月~3月、壁を作り、断熱材を入れ、床整備、塗装などDIYで空間作りを行った。焙煎機を導入してからは何度もテストを繰り返し、焙煎レシピを確立。太郎さんは「この1年は大々的に宣伝することなく、お客さまの口コミで営業を続けてきた。時間を計るなど難しい技法を使わなくても、おいしくいれられる豆を販売している。常連客らからは『ここのコーヒーを飲んだらよそのコーヒーが飲めない』と言われることが増えた」という。
「商品を買うだけでなく、試飲ができるので自然とお客さまとの間に会話が生まれる。そこが特殊で、コミュニケーション特化型の店。2年目も引き続き、利用いただければ」と呼びかける。
営業時間は9時~17時。営業日はSNSで知らせる。