
長浜の「きのもと町並み研究会」(長浜市木之本町)が4月25日、「きのもと建物マップ」の配布を始めた。両面カラーで、広げるとA2サイズ。折り畳んだ状態では縦21センチ×横10センチのポケットサイズ。
2014(平成26)年、木之本に住む住民らが同研究会を設立。西村豊弘会長は「商売をしている中でお客さまに町のことを質問されたときに答えられなかったことがあり、木之本の町並みについてに詳しい人たちに教えてもらうようになったのが設立のきっかけ」と振り返る。
毎月、木之本自治会館に集まり活動するようになり、宿場町の町並みが残る木之本宿にある建物の歴史を掘り下げるために町屋調査を始めた。活動の広がりの中で、京都府立大学の大場修教授を招き「町歩きワークショップ」を2回開催したほか、地元出身の美術講師・田辺宗一郎さんが生前に撮りためた地元の写真や映像を使った写真展・上映会を開催、木之本小学校3年生の校外学習として、昔の町の写真と今の町を比較する授業「写真を持って町探検」なども行ってきた。メンバーはその時々で流動的に変化し、現在は20代~80代の幅広い年代で、移住者も含めた7~10人ほどが中心になり活動をしている。
同マップは11年にわたる、これまでの活動で知り得た知識を反映させて作った。木之本の北国街道沿いにある江戸~昭和初期に建てられた建築24軒を取り上げている。表面には、それぞれの建物の外観写真と建物の見どころなどの説明文を掲載。マップの中央には北国街道と建物のイラストがあり、建物が建てられた時代が分かるように、江戸・大正・明治・昭和初期の4つの時代を色別に分けて表記しているほか、登録有形文化財やトイレなども確認することができる。裏面は「家に帰ってからも木之本の町を思い出してほしい」という思いから、木之本にまつわるポスター写真になっており、地元のフォトグラファー・辻井昌代さんが撮影した「山路酒造」(木之本町)の写真を採用した。近日中に別バージョンも発行予定だという。
西村会長は「2年前の秋ごろ、マップ制作の構想を始めた。マップ制作に当たり学術的な裏付けを一番大事にし、時間をかけて一軒一軒話を聞いて回り、これまでの活動で得た資料を中心に新聞記事、文化庁のウェブサイトなどの文献からも事実確認を行ってきた。観光客だけでなく、地元の人でも知らないことがあると思うので、建物に興味があるさまざまな人に手にとってもらい町歩きを楽しんでもらえれば」と話す。
JR木ノ本駅の観光案内所「おかん」、江北図書館、交遊館(以上、木之本町)などで無料配布している。