特集

【街の発酵スポット vol.4】発酵・料理家 たやまさこ(高島)

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 昔から発酵文化が根付いている長浜をはじめとする湖北エリアでは、酒蔵やしょうゆ蔵などが今も点在しています。この特集では、そんな「発酵」にまつわる「発酵スポット」や「発酵人」を紹介していきます。

 今回は、発酵・料理家のたやまさこさんに話を聞きました。


たやまさこさん

 1966(昭和41)年、滋賀県高島市生まれ。松下電器商学院女子部で、経営、礼儀作法、商人としての精神を習得。卒業後、土井勝料理教室やベターホーム本科・師範を習得。1995(平成17)年予約制総菜店「美食倶楽部」開業。2002(平成14)年、調理師免許取得。2019年、「発酵舎mamma(まんま)」を主宰。「『発酵は生きる力』…自分で考え、感じる力を身につけてほしい」と思い、レシピのない料理教室や保存食ワークショップなどを開くほか、微生物の分解力を生かした調理法により、「消化にやさしい」発酵料理を食べる会や「発酵を極める」オンライン講座も開いている。

たやさんが作る発酵食品

「暮らしに根付いた発酵」を大切に

 たやさんは、「高島は寒暖差が激しく湿度が高い季節が長いので、多様な菌が存在して、名物のふなずしや漬け物などがおいしくできる環境」と言います。この地域には「守り(もり)文化」というものが根付いており、畑の守りをする、川の守りをするなど、できる限り環境に寄り添いながら整備するという精神性があるとのこと。発酵食品に対しても同じで、人間は最小限の手をかけるだけで「菌に寄り添う」という姿勢で守りをするという。「へしこを漬ける時も目に見えない菌の気配を感じて『床の間に置いてほしい』という声を受け取り、寒いところから移動させてあげると、2週間後にすごくおいしく仕上がったりする。昔の人はそういうテレパシーのような感性が豊かだったのでは」とも。

料理教室を兼ねた「食事会」

料理会の様子

 現在は、自身で企画する料理教室などはほとんど行っておらず、依頼があったグループに対して料理教室を兼ねた食事会を開いていると言います。要望に合わせたメニューを作り、発酵談義を楽しむ時間を過ごします。依頼があれば、みそ造りやへしこ漬けなどのワークショップも行っています。

オンライン講座

 生徒のやりたいことに応えるため、3カ月間のマンツーマンのオンライン講座を開いています。発酵調味料の作り方、使い方などを伝え、発酵食による体への良い変化を感じてもらえるレベルまで身につけてもらえるように心がけて指導していると言います。

活動の中で大切にしていること

へしこ

 料理教室など活動の中では、生徒の成長のために、「その人自身が自分で考えて行動すること」を大切にしていると言います。簡単にスマホなどで答えを調べることができる現代だからこそ、料理を教える時に答えをすぐに教えるのではなく、「こうするとどうなると思うか」「この場合はどうしたら良いと思うか」と生徒に向けて投げかけていくことで、一つ一つの工程への理解が深まり、点と点がつながって線になり、その体験が「本物の知識」となると言います。

たやまさこさんに聞く・「発酵の魅力」とは

たやまさこさん

ー発酵の魅力は何だと思いますか?ー

たやさん「発酵食品をつくる時に『正解』はないんです。菌という見えないものの気配を感じ取ることが『おいしさ』につながる深さや面白さがありますね」

ー特に好きな発酵食品はありますか?ー

たやさん「浅漬けやぬか漬けなど季節ごとに楽しめる漬け物です。高島では赤カブ、ダイコン、白菜がたくさん採れるので、それを保存するために漬け物にする食文化があります。たくさん漬け過ぎたらぜいたく煮にもできますし…」

ぬか漬け 

 料理教室もされている高島の自宅でインタビューの応えていただいたたやさん。湖北の暮らしに根付いた発酵食品の魅力を教えていただきました。

 

「発酵・料理家たやまさこ」

ホームページ https://tayamasako.com/

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