長浜の出版社「能美舎(のうびしゃ)」(長浜市木之本町)が12月16日、「江北図書館~120年続くちいさなふるい私設図書館~」を発売した。
賤ヶ岳の麓にある同社は堀江昌史さんが経営する「ひとり出版社」で、「ローカルな魅力の発信に特化した」本を年1~3冊のペースで出版する。
出版は江北図書館(長浜市木之本町)を愛する地域住民21人と材光工務店、滋賀大学経済経営研究所の2団体が協力して手がけた。同館は1907(明治39)年に設立、創設者は余呉村出身の弁護士・杉野文彌(ぶんや)。今年11月、一般財団法人「野間文化財団」が手がける「第4回野間出版文化賞特別賞」を受賞している。
書籍化の経緯は「この賞の受賞をきっかけに、全国の人に江北図書館の魅力を伝えるためにまとまったものが欲しかったから」だという。前身の「杉野文庫」から数えて120年間、地域住民によって守られてきた歴史、建物、時代を感じさせる蔵書のことなどを写真やイラストなどを多用して掲載している。仕様はオールカラー92ページ。同館は12月23日、建物の老朽化による修繕費用を募るクラウドファンディングを始め、その返礼品にも同書も用意する。
著者代表の岩根卓弘さんは「創設者の思いで誕生したこの私設図書館が120年間、地域住民によって守られてきたということは奇跡的なこと。その奇跡を図書館に残る資料をひもといて自分たちで編さんして一冊の本にまとめた。手に取ってもらえれば」と呼びかける。
価格は1,980円。県内の平和堂内書店全店など全国書店の他、ネット書店で扱う。