長浜の旧小原地域に伝わる民具について書かれた書籍「小原かご~自然と神々と暮らした人びとの民具~」が5月30日、能美舎(長浜市木之本)から発売された。
著者は長浜在住の荒井恵梨子さん。栃木県出身の荒井さんは2018(平成30)、長浜市の地域おこし協力隊に着任し、活動を通じて小原かごのかご編み技術を継承する太々野功さんと出会った。小原かごは余呉町のかつて小原と呼ばれていた集落に伝わる民具で、地元の山で採取したモミジやイタヤカエデの若い幹を使い編み込み作られている。小原かごの起源は明確ではないが、同地域に伝わる約800年前の民話に木かご作りの様子が残っているという。
現在、小原かごを作ることができるのは太々野さん一人になっていると知った荒井さんは、太々野さんに弟子入りし、かご編みの技術の継承を始めた。
同書では、小原かごの種類や作り方、当時の村の暮らしなどを、写真やイラストを交えてまとめている。荒井さんは「昔の人は自分で材料を手に入れて生活道具を作っていた。人が身近なものを使ってうまく生きていけるということをこれからの時代にも伝えたいと考え、この地域で作られてきた『小原かご』のことを残すために本を作った」と話す。
荒井さんが経営する「カフェと日用品 コマイテイ」(長浜市木之本)では、小原かごを販売するほか、今後、かご作りのワークショップも予定する。
「全国でこのような地域に伝わる物作りの技術継承のあり方について取り組んでいる人は多いと思う。そういう人たちと一緒にその技術をどのようにして次世代に残していけるかを考えていければ」とも。
価格は1,980円。同店、全国主要書店のほか、ネット書店で扱う。