提供:滋賀県森林政策課 制作:長浜経済新聞編集部
マザーレイク・母なる琵琶湖、その水源の森を擁する「滋賀のやま」。この「やま」を舞台とした、新しい挑戦の数々をご紹介します。
やまに人が関わることで、人もやまも健康になる。そんな想いを持って滋賀県では令和元年度から、「やまの健康」推進プロジェクトと題した取り組みを進めてきました。ここで言う「やま」とは、森林・林業・農山村の総称。過疎化や高齢化が進む、これら「やま」の地域で、農山村ならではの価値や魅力を活かした関係人口づくりや新たな仕事づくり、山林整備やコミュニティの再生などに積極的にチャレンジされている地元住民のみなさんをこのプロジェクトでは「モデル地域」に選定して応援しています。
今回、5地域(8団体)のこれまでの成果をお知らせするにあたって、あらためて地域の“魅力ポイント”を抽出し、それをポスターという形式で表現しました。県内外や都市部のみなさんにも現在進行形の「やま」での活動を、わかりやすく、そして楽しくお伝えできればと思っています。それでは、順番にご紹介していきます。
高島市南深清水では2018年から、南深清水FF倶楽部のメンバーが中心となってオリーブ栽培をされています。瀬戸内海など温暖な気候で栽培されるイメージが強いオリーブですが、冬には積雪もある高島市でもすくすくと元気に育っていて、いまでは地域の新しいシンボルになりつつあります。
このオリーブ、1本1本にオーナーを募集していて、現在80人以上の人が持ち主になっておられます。健康と美容に効果があるオリーブは“平和”の象徴でもあり、地域外の人と南深清水をつなぐアイテムとして移住促進にも一役買ってるそうですよ。
全国各地の自治体が移住者獲得に力を注いでいますが、米原市伊吹北部にはなんと約25%が外から移り住んできた世帯という、移住者に人気の甲賀集落があります。みずから空き家となった古民家を買い取ってリノベーションすることで、移住者を増やすことにつなげている法雲俊邑(のりくもしゅんゆう)さんは、この集落のお寺のご住職でもあります。
法雲さんは古民家改修の他にも、関係人口を増やす取り組みとして、地元伝承の火力が強い黒炭で焼きあげるピザ試食会も開催されています。ピザも、伊吹山の特産である薬草や山菜が味のアクセントに使われていて、村での“おいしい暮らし”が体感できる味わいです。
米原市伊吹北部の上板並で、“伊吹弥三郎ベース”なる楽しいスペースをつくって関係人口創出につなげているのが、伊賀並正信さん。ドローン操縦士の肩書きも持たれていて、弥三郎ベース内には誰もがドローン体験できる飛行場も開設されています。
一組で貸し切りにできるプライベートキャンプ場や山の上にある“隠れ家”的キャンプ場など遊び心あふれる施設では、「密」になることもなく、自然をたっぷり体感できるとあって都市部からのお客様にもとても喜ばれているそうです。ちなみに、伊吹弥三郎というのは伊吹の民話に登場する伝説の巨人です。
伊吹山の中腹から湧き出る水、桶水(おけすい)。その豊かな恵みが受けられる土地を、棚田として再生したご夫婦がいらっしゃいます。都市部から、米原市小泉の集落に移住してこられた嶋野堅一さんと美知子さんです。
80aもの広い面積を、集落の方々や一般の棚田ボランティアの方々にも手伝ってもらいながらコツコツと開拓されて、無農薬・無肥料による農業やソーラーシェアリング、伝統的な伊吹山の薬草づくり、二ホンミツバチの保護活動など多彩な取り組みを続けておられます。棚田での持続可能な「農」や暮らしを、次の世代につなぐ挑戦に終わりはありません。
大津市葛川では有志の方々が「アロマオイル隊」を結成されて、地域オリジナルのアロマオイルを作られています。試作を重ねて現在販売しているのは、『葛の雫』という名前の“スギ”と“ヒノキ”のアロマオイルと、スギ、ヒノキに加えて柑橘系など数種類の香りが調合された『夏安居(げあんこ)ブレンド(“陽”と“月”)』の計4種類。市民センターで毎週日曜に開催される日曜市や、和邇にある「道の駅 妹子の郷」、葛川郵便局などに置かれているので見かけたら是非、手に取ってみてくださいね。オンラインでも購入可能です。
“通えるド田舎”というキャッチコピーがある葛川では、都市部との交流や移住を促進するさまざまな取り組みを推進されています。
忍者の里・滋賀県甲賀市の大原地域では、全国的に問題になっている「やま」の課題解決に取り組まれています。その課題とは、山の持ち主や境界がわからなくなってしまっていることで、森林整備ができず、山が荒れたまま放置されているというもの。
ひとつひとつ持ち主を探し出し山の境界線を明確にする、という気が遠くなるような作業を住民主体で一歩ずつ進められていますが、これはとても大変な活動です。大原では、このチャレンジを支援していただける個人・企業を絶賛募集中。豊かな「やま」を次世代につなぐために、みなさんの“助太刀”をよろしくお願いします!
JR草津駅から車で20分、名神高速道路の栗東ICからは10分という便利な場所にある“意外と近い”やま。それが、滋賀県栗東市の走井(はしり)の集落です。
ここでは長老である宮城定右衛門さんを座長とする「明日の走井を考える会」が地元自治会と連携して、関係人口づくりを積極的に推進されています。そのひとつが、棚田での米作り体験。春の田植えから、秋の稲刈りまで、何度か棚田に通って農作業するあいだに走井の豊かな自然や地域の人々の温かさに触れられます。いつのまにか、この村が“第2のふるさと”のように感じられるかもしれませんね。
滋賀県栗東市の南部にひろがる、金勝アルプス。京阪神からのアクセスも良好なこのエリアには、ココロとカラダがすっきり健やかになる自然体験型のアクティビティが充実しています。
岩山の絶景を眺めながらの山歩きコースや、森の中で跳んだり滑ったりできるアウトドアパーク、日本最大級の屋外型スラックライン施設、山でのヨガ体験などなど。数え切れないほどの楽しさがギュッと詰まっている金勝地域は、疲れた心身をリフレッシュするのに最適なスポットです。次の週末はちょっと栗東まで足をのばして、「やま」で健康になってみませんか?
みなさん、いかがでしたか?それぞれの「やま」で、それぞれ個性的な取り組みに挑戦されていますので、もしも興味を持たれた地域があれば、是非、もっと詳しく調べてみたり、機会があれば現地を訪れてみたりしてくださいね。
これからも、楽しみな滋賀の「やま」。合言葉は、「やまの健康」やまで健康になる!やまを健康にする!です。