昔から発酵文化が根付いている長浜をはじめとする湖北・湖西エリアでは、酒蔵やしょうゆ蔵などが今も点在しています。この特集では、そんな「発酵」にまつわる「発酵スポット」や「発酵人」を紹介していきます。
初回は、長浜に2021年12月にオープンした商業文化施設「湖(うみ)のスコーレ」の中にある「ハッピー太郎醸造所」です。
2017(平成29)年から「醗酵でつなぐ、しあわせ」をポリシーに同醸造所を経営するハッピー太郎さんは、独立までに3つの酒蔵で12年間、米こうじ作りや日本酒造りを身に付けてきました。「いつかは醸造所を持ちたい」という思いから屋号を名付け「米麹(こうじ)屋」として発酵食品の製造・販売などの活動を続けてきました。
彦根を拠点にしていましたが、長浜の商業文化施設「湖のスコーレ」への入居の声がかかり、2021年12月に移転することに。同施設からの「どぶろく造りの提案」に賛同し、今年1月にどぶろくの免許を取得、製造販売を始めました。
県内の自然農法で育てた米から造る・自社醸造「ハッピーどぶろく」
「ハッピーどぶろく」甘口・辛口 価格は1,760円(480ミリリットル)
「ハッピーどぶろく」の原材料には東近江で自然農法を取り入れる「池内農園」の米「滋賀旭」から作ったこうじ、長浜で自然循環農法に取り組む「シバタグラウンドミュージック」の米「ありがとう米」などを使っています。ラベルは、米原を拠点に活動する切り絵作家・早川鉄兵さんがどぶろく用に制作した切り絵から仕立てています。
ハッピー太郎さんは「みそ用のこうじで酒を作ったところも自分ならでは。うまみと甘みが利いていて、決してきつくない仕上がりになっている。微炭酸で後味は爽やか」と話します。
その他の取り扱いオリジナル「発酵食品」のラインアップ
定番商品のラインアップ
店内では、どぶろく以外にも同醸造所で作った商品を販売しています。「濃厚甘酒の素」「苺(イチゴ)の甘糀(こうじ)」「大地の糀(こうじ)」「昔の白味噌(ミソ)」など。
店頭では甘酒の食べ方の提案として、凍らせた甘酒で作る「甘酒シャーベット」が試食できるほか、どぶろくの試飲(40ミリリットル=300円、80ミリリットル=500円・甘口辛口飲み比べ=800円)も提供しています。
今年10月には、どぶろくと他の食材を組み合わせた「something happy(サムシング・ハッピー)」 というシリーズを立ち上げました。第1弾として、「梶谷農園」(広島)のレモングラス、ミントなどのフレッシュハーブから造るどぶろくを数量限定で発売しました。
今後も全国の生産者とのコラボレーションした副原料を使ったどぶろくの発売を予定しているそうです。
「something happy ハーブティー」価格は1,870円(480ミリリットル)
みそ造りワークショップやイベントも開催
過去のみそ造りワークショップの様子
どぶろくなどの商品販売以外にも発酵を体験できるワークショップやイベントを開いています。
「手前みその会」(1月~3月)
対象は4キロ以上のみそを仕込む人。予約時に作る量を伝えると材料を準備してくれます。みそつぼは各自持参。
「10日でできる白みそ教室」(真冬以外・不定期)
沖島ではみそを仕込んで1週間くらいで食べ始める習慣があり、次第に熟成していく味わいを楽しむとのこと。ハッピー太郎さんいわく、これは京都の白みそ文化にも通じるといいます。
今後はみそ造りワークショップ以外にも、どぶろくの仕込み体験の企画を構想しているそうです。
ハッピー太郎さんに聞く・「発酵の魅力」とは
ー発酵の魅力は何だと思いますか?」ー
ハッピー太郎さん「究極の自己満足ですね」
「みそは自分のタイミングで食べ始めることができたり、ぬか漬けも自分好みの味にしていったりすることができる。配合を変えるなどして毎回チャレンジした結果、「出来上がりはどうかな?」と毎回ドキドキしますよね。スリルがあり、楽しみがあり、エンタメ性があると思います。論理性と感性が必要になってくるし、想像力がついてきます。それが養われていくところも良いところだと思います」
ー特に好きな発酵食品はありますか?ー
ハッピー太郎さん「みそですね。みそ汁をよく飲んでいますね。亡くなったおばあちゃんのみそで育ってきました。おばあちゃんは九州の麦みそを作る名人だったんですよ」
最後にハッピー太郎さんは、発酵への探究心や愛情たっぷりにインタビューに答えていただきました。
「ハッピー太郎醸造所」
住所 長浜市元浜町13-29
営業時間 11時~18時
定休日 月曜~木曜定休(祝日は営業)
ホームページ https://happytaro.jp/
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