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県内最古・長浜の江北図書館が「野間出版文化賞特別賞」受賞 

江北図書館の運営メンバー

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 長浜の江北(こほく)図書館(長浜市木之本町)が「第4回野間出版文化賞特別賞」を受賞し、11月4日、発表された。

江北図書館 外観

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 同館は1907(明治39)年に建てられた図書館で、創始者は余呉村出身の弁護士・杉野文彌(ぶんや)。蔵書は約5万冊。江戸時代に塙保己一(はにわ・ほきいち)が編集した国文学、日本史の資料集「群書類従」、大正期に刊行された夏目漱石の全集、坪内逍遥(しょうよう)によるシェイクスピアの翻訳書など貴重な書があるという。2013 (平成25)年には、100 年以上にわたって、地域が私立図書館を守り続けてきたことが評価され「サントリー地域文化賞」を受賞、今年10月には、全国各地の個人や小規模団体により運営されている、小さな図書館を対象にした「マイクロライブラリーアワード」を受賞している。

 野間出版文化賞は、一般財団法人「野間文化財団」が手がける「野間文芸賞」「野間文芸新人賞」「野間児童文芸賞」の野間三賞に加え、2019年に新設。「出版の再発明」を目指す講談社の創業110周年記念事業の一環で制定した同賞は、書籍・雑誌などの従来の出版の枠にとらわれず、出版にまつわる優れた表現活動を行った個人・団体などを顕彰する。小説家・林真理子さんを始め、5人の選考委員により選出され、正賞に賞牌(しょうはい)、副賞として100万円を贈る。同館の受賞が決まった特別賞は2021年に新設され、同年、「角川武蔵野ミュージアム」が受賞している。

 「滋賀県では現存する最古の図書館で、個人が設立して100 年以上にわたり地域住民が運営を続けてきた他に例を見ない私立図書館。公的な資金援助は受けられず、老朽化した施設の改修もままならなかったが、昨年、運営メンバーが一新し、『思いを次世代につなぎ、愛される図書館にしたい』と再生に向けた取り組みを活発に行っている」点が評価された。

 久保寺容子館長は「受賞の連絡が届いたとき、うれしい気持ちもあったが、何より『どうしてうちが選ばれたの?』という驚きの気持ちが強かった。これまで、この図書館を知ってもらい、身近に感じてもらえるようにと、コンサートやお話し会を開いたり、古本市にも協力したりしてきた。ありがたいことに地域の人が清掃を手伝ってくれたり、ファンクラブを作っったりして支援してくれたりしている。そうしたコツコツと続く活動を認めてもらえたようで光栄」と話す。

 岩根卓弘理事長は「歴史はあるがあまり知名度のないこの小さな図書館に素晴らしい賞を頂くことになり、驚きを隠せない。これを機に多くの方に江北図書館を知っていただき、いろいろな形で支援・協力を頂ければ」と呼びかける。

 「帝国ホテル」(東京都千代田区)で12月16日、贈呈式が行われる。

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