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石田三成がテーマのブックカフェ 米原・大原観音寺で4年ぶり一日限定復活

名誉館長の田附清子さん(左)、住職の林昭一さん(右)

名誉館長の田附清子さん(左)、住職の林昭一さん(右)

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 豊臣秀吉と石田三成の出会いの地として知られる大原観音寺(米原市朝日)で11月5日、「観音寺ブックカフェ」が4年ぶりに開催された。

館内の様子

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 同寺には、当時小僧をしていた石田三成が豊臣秀吉に才能を見いだされるきっかけとなった「三献の茶」の話が伝えられており、茶の水をくんだとされる「水くみの井戸」などが手入れされ、地元からも大切にされてきた。

 800年近い歴史を持つ同寺。境内には300年以上の歴史を持つ「本坊」があり、地域とともに文化財としての利活用が考えられてきた。同拠点では過去、映画「関ヶ原」や大河ドラマにちなんだ講演会・トークショーなどのイベントを開催。2018(平成30)年に改装し、「三成庵」と命名。およそ300冊の三成に関連する書籍をそろえ、「石田三成に『逢(あ)える』ブックカフェ」をコンセプトとした同企画は、米原市の観光拠点としても活躍してきた。本棚には市からの補助金や寄贈、著者からの献本などで集められた小説・漫画・雑誌・図録のほか、古くから同寺に保管されていた書物や最近の研究書も並ぶ。戦国時代がテーマのゲームや映像も保管され、視聴する人の姿も。

 三成生誕の地でもある隣町の長浜市石田町では毎年11月の第1日曜、三成の法要が行われる。今年は同日、「石田三成祭」が4年ぶりに開催されるのをきっかけに、コロナ禍で中止していた同企画も同日限定で再開を決めた。当日は長浜駅・石田町と同寺院を結ぶシャトルバスも運行。大河ドラマの影響だけでなく、近年はゲームをきっかけに三成を知った若者や女性のファンも増えており、全国から多くの人が訪れた。

 近年は豊臣家臣団の研究も進む中、政権下での三成の功績が評価されつつある。今回の開催に際しても、『オンライン三成会』会長の中井俊一郎さんの最新著書、『知られざる三成と家康』など、新しい解釈の書籍が加わった。名誉館長の田附清子さんは「今の日本史は、徳川が伝えた日本史が基となっている。大河ドラマで何度も描かれてきた徳川家康に対し、敗者である三成の歴史は定説が凝り固まり、長い間なかなか変わらない印象があった。ブックカフェを常時開催するのが難しくても、今回のようにイベントなどの機会を取り込みながら、本物の三成が理解され、違った目線で描かれることにつながっていけば」と熱を込める。

 同寺がある米原は、出生地「長浜」、居城があった「彦根」と隣接。「三成」という共通項を持つ3市が合同で「三成会議」を開き、これまでに「石田三成公を大河ドラマの主人公に」というメッセージを込めた動画を制作したほか、「三成めしスタンプラリー」を企画するなど、今後も石田三成ゆかりの地ならではのさまざまな取り組みを行っていく予定。

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