障がい者支援団体「マルチスイッチ」の木村寛子さんが9月26日、「ギャラリー蔵美(くらび)」(長浜市余呉町)で車いすユーザー用の着物の展示と貸し出しを始めた。
自宅の蔵を改装して作ったという同ギャラリーは9月1日にオープン。春に立ち上げたクラウドファンディングで資金を調達して完成させた車いすユーザー用の着物の展示・貸し出しを行っている。着物は着付師に頼まなくても誰でも簡単に着付けをすることができ、上下が分かれているので、座ったまま着用できる。特徴はお尻部分がくり抜かれている点。これにより、座っている時に生地が引っ張られるのを避けられ、トイレの心配も解消されるという。通常後ろに付ける帯は車いすでは不自由なため前に付けるタイプに変えている。着物は振袖6着、訪問着2着、色無地2着の計10着をそろえる。
同ギャラリーについて、木村さんは「クラウドファンディングに協力してもらい、みんなで作った着物なので、自宅で保管しておくより、誰にでも好きな時に見てもらえるようにと思いこの場を作った。長浜市街地には障がいをもつ人向けの施設やサービスがいくつかあるが、余呉にはない。このギャラリーも『長浜市街地で作った方がいいのでは?』という声があったが、私のように余呉周辺にも障がいをもつ人が多く暮らしているので、その人たちのためにこの場所でやることに決めた。コロナが収まれば、映画鑑賞会なども開きたい」と話す。
同ギャラリーは着物以外にも木村さんがデザインを手掛け「湖北みみの里」と協力して作った障がいをもつ人のための服「スワリオン」の販売もしているほか、マルチスイッチの事務所としても活用している。
「今までは出会う人から「大変ね」「気の毒だね」と声を掛けられることが多かったが、昨年『きものDE長浜』の時に着物を着て出掛けたら『華やかね』『きれいね』と声を掛けてもらえた。女性としてそれがすごくうれしかった。一緒に着物を着て出かけた車いすユーザーの女性もキリッとしたとても良い表情をしていて、これは変身力のある着物にしかない力だと感じた。通常着物は立って着るものだが、ここにある着物は座ったままで簡単に着れるので、ぜひ見てほしい、着てほしい、感じてほしい」と呼び掛ける。
来場希望者はマルチスイッチ(multh@zb.ztv.ne.jp)までメールで申し込む。