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眠った着物をアップサイクル 長浜「シャナリシャツ」が譲渡受け付け

シャナリシャツを着用している石井さん(左)とワタナベさん(右)

シャナリシャツを着用している石井さん(左)とワタナベさん(右)

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 長浜のシャツブランド「シャナリシャツ」(長浜市小谷)が9月1日、シャツに仕立てる着物の譲渡受け付けを始めた。

工房で作業する様子

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 ワタナベユカリさんと石井挙之さんが経営する「仕立屋と職人」は、デザインやコンサルティングを通じて、日本の伝統文化や職人によるものづくりの魅力を伝える活動を行ってきた。

 7月、「タンスにしまったままの着物」を元に作るシャツのブランド「シャナリシャツ」を立ち上げた。ブランド名にある「しゃなり」とは、身をしなやかに動かして気取って歩く様を表し、「シャナリシャツを着る全ての人に、いつもとは違う少しだけ『気取った』気分になれるように」という思いを込めているという。

 シャツの基本デザインは、短冊状にカットした着物を表生地に2種、首元やカフスなどの裏生地に1種、合計3種の柄を組み合わせる。シャツのサイズはXS~Lをそろえ、ユニセックスで着用できる。オンラインショップやイベントで販売している。価格は2万円~。

 デザインと制作を行うのはワタナベさん。ワタナベさんは数年前、祖母が亡くなった際に遺品整理をする中で着物を処分するために買い取り業者を利用した。値段が付かない着物は素材として引き取られた。お茶をしていた祖母の思い出が詰まった着物がどのように利用されるかが分からず、手放した後に「モヤモヤ」した気持ちを抱えたという。そうした実体験から、着物を着ない人でもシャツという形なら着ることができ、タンスに眠ったままの着物が日の目を浴びるのではないかと考えたという。

 「ちりめんの産地である長浜では、嫁入り道具としてタンス1棹に着物を詰めて持たせたという話を聞いたり、上の世代の女性からは嫁入りのときに持参した着物はしつけ糸がついたまましまっているという話もよく聞く」とワタナベさん。

 「シャツは普段着にもフォーマル着にもすることができる。処分できずに大切に仕舞っていた着物がまた違う人の晴れ着として生まれ変わることができれば。譲渡だけでなく、思い出の着物を使ったシャツのオーダーも受け付けている。受け取るときにはただ受け取るだけでなく、話を聞いてその思いをくみ取りながらシャツを作れれば」と話す。

 着物の譲渡相談はホームページで受け付ける。

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