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長浜・大音「佃平七糸取り工房」で糸取り始まる 新たに若手も加わり技術伝承

新人の竹中昌代さん

新人の竹中昌代さん

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 長浜・大音の「佃平七糸取り工房」(長浜市木之本町大音)で6月20日、糸取りが始まった。

「佃平七糸取り工房」4代目の佃三恵子さん

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 同地域は昔から蚕が作る繭から糸を取り、生糸を作っている。近年、養蚕場も高齢化で廃業が続き、繭自体が不足してきたことから、2014(平成26)年、住民有志で桑の木1500本の栽培を始め、今では蚕の飼育も行っている。集落に桑畑が3つあり、約1万頭育てているという。今年から糸取り作業に新たに若手1人が加わった。

 同工房4代目の佃三恵子さんは「コロナの影響で注文が減っていたが、2年ぶりに少し増えた。大音でも糸取りをする人の高齢化が進んでいるので、技術の伝承のためにも新しく若い人が入ってくれることを望んでいる。今年は1人、新人が入ってきてくれてうれしい。数日前に教え始めたばかりだが、とても真面目に頑張ってくれている」と話す。

 糸取り作業は70~80度の熱湯の中に繭を入れて、ほうきで糸口をたぐる。約20個の繭からたぐり寄せた糸を「メガネ」と呼ばれる小さな穴に通し、「小車」と呼ばれる滑車までの間に1本の太い糸になるように糸によりをかけていく。糸は後方にある「こわく」と呼ばれる道具に巻き取られていく。良質な繭は1つから1200メートルの糸が取れるという。できた生糸は「丸三ハシモト」で邦楽器用の糸に加工される。

 新人の竹中昌代さんは「所属する『長浜ローカルフォト』の取材で5、6年前から毎年ここに訪れていた。佃さんとも仲良くさせてもらっていて、自分も糸取りをやってみたいと興味を持ち始めた。事前に2日間特訓してから糸取りに参加した。蒸気の暑さと外気の暑さが大変。作業の中で目を配らないといけない箇所がたくさんあり、想像していた以上に大変だが、生糸がさまざまな工程を通じて出来上がることを体感して、すごいなと感じている」と話す。

 作業は梅雨明けまで続く。

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